今回のブログは感染根管治療について書いていこうと思います。
早速ですが下にレントゲン写真を添付します。
上の写真が元のレントゲン写真で、下がその解説です。
ピンクで囲んだところには大きな虫歯(カリエス)がありますが、今回は水色で囲んだところにある破折ファイルについて説明していきます。
感染根管治療というのは、簡単に説明すると、歯の根または歯の中の治療です。
虫歯が大きくなり歯の中の神経まで細菌が到達すると感染を引き起こし、神経が壊死してしまい歯の中で細菌が増殖してしまい、痛みや周囲の歯茎や骨に炎症を起こしてしまします。
原因は細菌ですので、歯の中で増殖してしまった細菌を消毒して炎症が起こらないレベルまで減らす治療ですが、ここで重要なのは、炎症が起こらないレベルまで減らすことであって、無菌化することができないということです。ですので、神経を温存するというのはとても大切なことなんです。
話がそれたのでもどします。
感染根管治療を行うにあたって、どうしても使用する器具の破折というのは起きてしまう事象です。
0.1mmより細い神経の管を治療するためにはそれより細い器具が必要となります。
ですので、どうしても治療中に破折することがあります。破折した器具(ファイル)は滅菌していますのでそれ自体が感染源となる可能性は低いのですが、折れた先に細菌が存在する場合、そこの部位は消毒できないこととなり細菌を減らすという治療ができなくなり、治らない場合もでてきてしまいます。
そうなった場合、破折ファイルを除去したいのですが、肉眼でみることは不可能に近く、8倍程度の拡大鏡(歯科用ルーペ)を用いても見えるかどうか、の状態です。
そこで必要なのが歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)!
ではマイクロスコープがあればみえるのか?
答えはNOです。
見えるように歯の根の中を削合していく必要があります。どこを削るのか、どこを削ってはダメなのかは歯の形態、色調の違いなどしっかり勉強しておく必要があります。
では、破折ファイルがみえるようになったとして、マイクロスコープがあればとれるのか?
これも答えはNOです。
はっきり言って、超絶難しいです。
しかし、セオリーはありますので、それにそってすすめていくと除去できる確率はあがってきます。
ですので、必ず除去できるとはいうことはできませんが、できる限り処置させてください、とお願いして治療にあたっています。
下のレントゲンは破折ファイル除去後、根管充填後の写真です。根の先までしっかりと埋まっているのはわかります。
今回は2回に分けて治療を行いました。マイクロスコープを使用した根管治療は基本的に自費治療となりますが、自分の歯を残すという選択肢に対して、効果の高い治療方法、機器だと考えております。
どんな歯でもできるというわけではありませんので、詳しい検査を行った上での診断となります。
気になる方は、一度ご相談ください。
院長 秋月