歯の移植、って聞いたことありますでしょうか?
抜歯しないといけない歯があった場合、抜いた後はインプラント、ブリッジ、義歯(入れ歯)の治療方法の選択肢がありますが、
歯を移植する、という選択肢が選べる場合があります。
それは、真っ直ぐ生えた、根っこが一本の親知らず、がある場合です。
右上の親知らずを右下に移植した症例を供覧いたします。
この症例は特別に、CTデータから移植する歯を3Dプリンターで作るという方法をとりました。
模型で確認。ノギスで測っても誤差はほとんどありません。3Dプリンター、すごい精度です。
抜歯直後の実際の歯と比較。歯根の形も全く同じです。
移植する部位に挿入してみたところです。このシュミレーションがとても大事で、以下に移植する時間を短くして細胞の保存を図るかが成功の鍵になります。
実際に移植したところです。シュミレーション通り。
移植後1週間です。まだまだ傷が癒えておりませんが、オペ後から疼痛はなかったとのことでした。
移植後2週間です。歯茎がきれいに治ってきています。
その後、ラバーダムを行い、根管治療を行いました。
移植する歯は、一度抜歯するので中の神経が切断された状態になります。移植後2週間から4週間で、切断された神経を取り除かないと、細菌の感染を引き起こしてしまうので、とても重要な処置になります。
ここからはレントゲンでの変化を追っていきます。
ますは抜歯前。歯の根が折れてしまっていました。
移植後すぐのレントゲンです。3Dプリンターでのレプリカを使って、移植する歯が一番安定し、かつ前後の歯と調和が取れる場所を探しています。
移植後2週間で根管治療後のレントゲンです。まだまだ移植している歯の周辺には骨はできておりませんが、歯の動揺(動き)は少なくなってきています。
移植後2ヶ月。歯の周囲に骨の模様が見えてきています。ここまでくると歯の動揺はわずかになっています。
移植後4ヶ月で最終補綴装置(被せ物)を装着したところです。きれいに骨ができているのがわかります。
この治療で使用した3Dレプリカは保険治療には含まれませんが、一連の治療は保険治療で行うことができる場合もあります。
親知らずの有無、形、などによって移植できない場合もありますし、移植を行なっても必ず成功するわけではありませんが、条件が整った場合、とても優れている治療方法ではないでしょうか。