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2019.01.21

歯の治療=歯の治癒 ではありません! その1

今回は歯の治療、とくに虫歯について、事実であったり僕の主観であったりをまとめてみようと思います。

 

まず、題名の 歯の治療=歯の治癒 ではないことについて。

 

歯というものは、人体の中で骨と同じように硬い組織です。特に歯の表面のエナメル質は骨よりも硬いです。

 

硬さは似ていても、大きく違うところがあります。

 

ますは、骨は体の中にありますが、歯は露出しています。それも細菌の多い口腔内に。

 

つまり、歯の方が劣悪な環境にさらされているわけです。

 

もう一つ。

 

骨は骨折しても固定など治療を行うことによって再生、治癒しますよね。場合によっては、何も治療しなくとも自然治癒することだってあります。肋骨の骨折などがイメージしやすいかもしれません。

 

しかし、歯は虫歯で穴が空いてしまうと、穴が塞がるような再生はしません。つまり骨のような自然治癒力は併せ持っていないのです。

 

同じような硬い組織でも、ここが大きな違いではないでしょうか。

 

なぜか、という問いには専門的な組織学の話から説明が必要ですので、それはそっと横に置いておいて、

 

穴があいたら元には戻らない虫歯になったら元には戻らない

 

ということを覚えておいてください。

 

では、穴が空いてしまった虫歯の治療はどうするのか?

 

そもそも、虫歯ができたら治療をしないといけないのか、ということも考えないといけません。

 

答えは、虫歯の大きさ、深さによる、です。

 

歯の表面のエナメル質は1mmほどの厚さがあります。さきほど書いたように、このエナメル質は骨より硬い組織です。ですので、エナメル質に限局する小さな虫歯であれば、削らない、治療せず進行しないようにケアを行い経過観察する、が正解だと考えています。

 

しかしながら、エナメル質の下の象牙質に達する虫歯は治療が必要なことが多いです。

 

象牙質はエナメル質と構造が異なるため、虫歯が進行してしまうことが大半です。

 

進行すると、今度は歯の中の神経、歯髄に炎症を起こしてしまいます。

 

そうなると、神経を取る治療、歯内治療が必要になる可能性がグッと上がってしまいます。

 

結果、歯の寿命の短縮になってしまいます。

 

ですので、治療が必要な状態なのか、レントゲン、写真などでしっかり検査を行い、診断することがとても重要で、治療が必要と判断した場合、最小限の介入で治療を行うことが歯の寿命に直結するわけです。

 

その虫歯ですが、なぜできてしまったのでしょうか?

 

歯磨きができていない、ことも原因となります。

 

それとは別に知っていただきたい虫歯ができる原因があるのです。

 

それは、

 

歯の亀裂、なんです。

 

歯のエナメル質は体の中で一番硬い組織である一方、お茶碗のように大きな力がかかると割れるという硬さゆえの性質があります。

 

その大きな力というのは、

 

噛むこと、なんです。

 

噛むという行為は、健康にとってとても大事なことですが、その行為の裏側にはこういった側面もあるのです。

 

そして、それ以上に大きな原因が、歯ぎしり食いしばり、です。

 

残念ながら、歯ぎしり、食いしばりを止める薬はありませんし、個人個人で引き起こしている原因は様々。

 

ストレスであったり、栄養の問題(反応性低血糖)であったり、歯並びであったり。

 

歯科治療は、この噛む力に対してどのように対処するのかを考えないと長持ちする治療はできないのです。

 

少し話が逸れたので、虫歯の話に戻します。

 

歯に入った亀裂は目ではみえないこともありますが、虫歯菌にしてみれば大きな隙間。

 

ブラッシングできないところで虫歯菌が増えることにより、虫歯ができてしまいます。

 

これが、歯磨きができていない、とは別の虫歯のできる原因ですが、おそらく歯の間の虫歯の原因は、圧倒的に亀裂が原因だと思います。

 

実際、拡大鏡、マイクロスコープを使用すると、ほとんどの歯で亀裂がみつかるので、虫歯ができる一番の原因なのではと考えています。

 

では、どのように治療をおこなうのか、書いていきたいと思います。

 

虫歯でできた穴には虫歯の原因菌が存在するため、まずは原因菌の除去、そして虫歯で柔らかくなった歯(象牙質)を除去していかないといけません。

 

その後、人工的な材料で穴を埋めていきます。穴の埋め方も、型取りを行い金属やセラミックスで埋める間接的な方法や、レジン(プラスティック)で埋める直接的な方法があります。

 

しかしながら、いずれの材料も接着剤でひっつけている状態です。

 

つまり治療は治癒ではなく、あくまで修理なんです。

 

極端にいえば、車の修理と同じです。事故車の修理です。

 

歯科医師は、その修理したところが再度悪くならないように、修理の技術の習得、向上に人生をかけているわけです。

 

しかしながら、歯は自然治癒はしませんし、ましてや人工の材料に自己再生力があるわけではありません。

 

虫歯になった原因を見つけなければ、再度虫歯になるでしょう。

 

そして、その原因に対して歯科医師、衛生士、患者さんそれぞれが支えあっていかないといけません。

 

歯の治療、歯を削る、そして修理したところを長持ちさせる、というのはそれだけ大変なことなんです。

 

先ほど、亀裂が原因ということは書きました。亀裂だけでは虫歯にはなりません。

 

亀裂に虫歯菌が入り込み、砂糖を栄養源とし酸を排出することで歯が溶ける、これが虫歯です。

 

つまり、虫歯菌の栄養源を摂取すること、つまり食事も大きな原因となりえます。

 

虫歯、に限って言うと砂糖の過剰摂取です。糖質の影響も大きいと思います。

 

人間の体を作るのは食事です。その食事による栄養摂取のバランスがいい状態が健康な状態です。体にいい食材、などTVでよく目にしますが、何事もバランスです。体にいいからと過剰摂取を行うと、本末転倒なのです。

 

すこし脱線しましたので虫歯の話に戻します。

 

虫歯菌(ミュータンス)の餌となりうる砂糖(ショ糖)を摂取しなければ、極端に言えば虫歯になりません。

 

逆をいえば、虫歯ができたということは砂糖の摂取が多すぎるのです。

 

自分が1日にどれだけの砂糖を摂取しているか、ご存知でしょうか?

 

きっと知らないはずです。知るとショックを受けるのは確実なくらい摂取しています。

 

どの食事、飲み物にどれだけの砂糖が入っているか、気になった方は

 

『あまくない砂糖の話』というドキュメンタリー映画がDVDで発売していますので是非みてみてください。

 

最後に、ブログの一番上に載せている写真の説明をして、その1は終わりにしようと思います。

 

先ほどまで、噛むことであったり、食事、砂糖であったり虫歯ができる要因をご説明してきました。

 

それはご自身でできる『予防』といってもいいと思います。

 

もう一つの予防は、歯科医院で行う専門的な予防です。

 

クリーニング、メンテナンスと言った方がわかりやすいかもしれません。

 

歯ブラシ、歯間ブラシで清掃できないところ、清掃していても気づかず残っているところ、そこをプロフェッショナルケアを行うことで疾患を未然に防ぐ。

 

歯を削ることなく予防でき、口腔内が清掃され歯がツルツル(ツルツルになることにより汚れをつきにくくします)気持ちいい処置、それが当院で行っているメンテナンスの位置付けです。

 

そのメンテナンスの一例として、写真を掲載させていただきました。

 

写真は患者さんの同意を得て掲載させていただいております。

この写真は治療前です。

これは治療前(左)と治療後(右)の合成写真です。

 

治療前はメンテナンスを受けていなかったとのことです。

 

前歯と左下の奥歯の治療は行っておりますが、それ以外は削る治療を行っておりません。

 

これだけ綺麗になったのは患者さんの口腔ケアのスキルもアップです。

 

なにより口腔ケアが大切だとわかってくださったことが一番大きい変化であり、一番重要なことです。

 

この状態を維持すること、元の状態に戻さないことが大切なんですが、それがメンテナンスです。

 

現在2年、綺麗な状態を維持されています。歯科に携わる者にとって、何より嬉しいことです。

 

歯の治療=歯の治癒ではないことについて書きてきましたが、治療を行ったとしても、メンテナンスでしっかり維持できるということもわかっていただきたく、写真をのさせていただきました。

 

その2では、呼吸の話について書きたいと思います。

 

長文、読んでくださりありがとうございます。

 

院長 秋月

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